新古今和歌集 巻第三 夏歌 182番
忘れめや
忘れることがあろうか。葵を草枕として結んで、仮寝をした野辺の、露の置いた夜明けのことを。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕斎院でありました時に、神館で詠んだ歌。
忘れることがあろうか。葵を草枕として結んで、仮寝をした野辺の、露の置いた夜明けのことを。
意訳
賀茂の祭の時、神館に泊まって、葵を枕のように結んで仮寝をした。その野辺に露が置いた夜明けのことは、決して忘れないだろう。斎院として過ごした日々をなつかしむ。
語釈・文法注
- 齋院
- 賀茂神社に奉仕する未婚の皇女。式子内親王は若いころ斎院を務めた。
- 神館
- 賀茂の祭の時に斎院が泊まった仮の館。
- 忘れめや
- 「や」は反語。忘れようか、いや忘れない。
和歌
- 作者
- 式子内親王(しょくしないしんのう) ?–1201
後白河天皇の皇女。賀茂の斎院を務めた。藤原俊成に和歌を学び、内に秘めた激しい情を静かな調べで詠んだ。『新古今和歌集』に女性歌人として最も多い四十九首が入る。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第三・夏歌・182番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「齋院に侍りける時、神館にて」(斎院でありました時に、神館で詠んだ歌)。
修辞
- 初句切れ・倒置法
- 初句切れ・倒置法。
- 体言止め
- 体言止め。
解説
式子内親王の歌。葵は賀茂の祭の象徴で、「あふひ(逢ふ日)」を響かせる。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、33頁(コマ26)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日