新古今和歌集 巻第三 夏歌 179番
折ふしも
季節が移ると、それに合わせて着替えてしまった。世の中の人の心のような、移ろいやすい花染めの袖を。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕夏の初めの歌として詠みました歌。
季節が移ると、それに合わせて着替えてしまった。世の中の人の心のような、移ろいやすい花染めの袖を。
意訳
季節が夏に移ると、人々は花染めの衣をあっさりと夏の衣に着替えてしまう。その変わり身の早さは、移ろいやすい人の心そのもののようだ。
語釈・文法注
- 折ふし
- 季節、時節。
- かへつ
- 替えてしまった。「つ」は完了。
- 花染
- 露草の花で染めたもの。色があせやすく、移ろいやすいもののたとえ。
和歌
- 作者
- 俊成女(藤原俊成女)(としなりのむすめ(しゅんぜいのむすめ)) 1171?–1254?
藤原俊成の孫で、養女となった。源通具の妻。後鳥羽院に仕え、千五百番歌合などで活躍した。余情に富む妖艶な歌風で、新古今時代を代表する女性歌人。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第三・夏歌・179番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「夏の始めの歌とてよみ侍りける」(夏の初めの歌として詠みました歌)。
修辞
- 本歌取り
- 「世の中の人の心は花染めのうつろひやすき色にぞありける」(古今集)をふまえる。
- 体言止め
- 体言止め。
解説
俊成女の歌。古今集の歌のことばを借り、衣替えの習慣に人の心の移ろいやすさを重ねる。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、32〜33頁(コマ26)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日