古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第二 春歌下 154番

思ひたつ

寂蓮法師(じゃくれんほうし)

飛び立つと決めた鳥は、帰るべき古巣をあてにしているだろう。慣れ親しんだ花の散った後の夕暮れに、私はどこを頼りにすればよいのか。

作者
寂蓮法師
  1. 1千五百番せんごひやくばん千五百番せんごひやくばんせんごひゃくばん歌合うたあはせ歌合うたあはせうたあわせににに詞書
  2. 2思おも思おもおもひたつひたついたつ初句
  3. 3鳥とり鳥とりとりはははふるすもふるすもふるすも二句
  4. 4たのむらむたのむらむたのむらむ三句
  5. 5馴な馴ななれぬるれぬるれぬる花はな花はなはなののの四句
  6. 6跡あと跡あとあとののの夕ゆふ夕ゆふゆうぐれぐれぐれ結句

引用の仕方

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現代語訳

〔詞書〕千五百番歌合に詠んだ歌。

飛び立つと決めた鳥は、帰るべき古巣をあてにしているだろう。慣れ親しんだ花の散った後の夕暮れに、私はどこを頼りにすればよいのか。

意訳

花が散ると、花の陰にいた鳥は古巣に帰っていく。鳥には帰る古巣があるが、花に慣れ親しんだ自分は、花の散った後の夕暮れに、身の置きどころもない。

語釈・文法注

思ひたつ
飛び立とうと決める。
たのむらむ
頼りにしているだろう。

和歌

作者
寂蓮法師(じゃくれんほうし) 1139?–1202
俗名は藤原定長。藤原俊成の甥で養子となったが、定家が生まれると出家した。『新古今和歌集』の撰者に選ばれたが、完成前に没した。「三夕の歌」の一首「さびしさはその色としもなかりけり」で知られる。
出典
『新古今和歌集』巻第二・春歌下・154番
歌体
短歌
状況
詞書「千五百番歌合に」(千五百番歌合に詠んだ歌)。

修辞

本歌取り
「花は根に鳥は古巣に帰るなり春のとまりを知る人ぞなき」(崇徳院、千載集)をふまえる。
体言止め
体言止め。

解説

寂蓮の歌。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、27頁(コマ23)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日