新古今和歌集 巻第二 春歌下 149番
花はちり
花は散って、特に何の色ということもなく眺めていると、何もない空に春雨が降っている。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕百首歌の中に詠んだ歌。
花は散って、特に何の色ということもなく眺めていると、何もない空に春雨が降っている。
意訳
花は散ってしまい、何を見るともなくぼんやりと空を眺めている。その空からは、春雨がしとしとと降っている。花のない空虚さと、もの思いに沈む心が重なる。
語釈・文法注
- その色となく
- 特に何の色というわけでもなく。
- ながむれば
- もの思いにふけって眺めると。「長雨」を響かせる。
- むなしき空
- 何もない空。仏教の「空(くう)」を思わせる。
和歌
- 作者
- 式子内親王(しょくしないしんのう) ?–1201
後白河天皇の皇女。賀茂の斎院を務めた。藤原俊成に和歌を学び、内に秘めた激しい情を静かな調べで詠んだ。『新古今和歌集』に女性歌人として最も多い四十九首が入る。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第二・春歌下・149番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「百首の歌の中に」(百首歌の中に詠んだ歌)。
解説
式子内親王の代表作の一つ。「むなしき空」に、色即是空の仏教的な無常観を読み取る説もある。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、26頁(コマ23)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日