新古今和歌集 巻第二 春歌下 140番
恨みずや
恨まないでいられようか。花がこのつらい世を厭って、誘う風があったら散ろうと思っていたのを。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
恨まないでいられようか。花がこのつらい世を厭って、誘う風があったら散ろうと思っていたのを。
意訳
花が散るのは、このつらい世の中を花自身が嫌って、誘う風さえあれば去ろうと思っていたからだ。そう思うと、花の心が恨めしい。小野小町の歌をふまえ、花を世を厭う人に見立てる。
語釈・文法注
- 恨みずや
- 「や」は反語。恨まないでいられようか。
- 厭ひつゝ
- 嫌いながら。
- 誘ふ風あらば
- 小町の「誘ふ水あらば」をふまえる。
和歌
- 作者
- 俊成女(藤原俊成女)(としなりのむすめ(しゅんぜいのむすめ)) 1171?–1254?
藤原俊成の孫で、養女となった。源通具の妻。後鳥羽院に仕え、千五百番歌合などで活躍した。余情に富む妖艶な歌風で、新古今時代を代表する女性歌人。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第二・春歌下・140番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。
修辞
- 本歌取り
- 「わびぬれば身をうき草の根を絶えて誘ふ水あらばいなむとぞ思ふ」(小野小町、古今集)をふまえる。
- 初句切れ・倒置法
- 初句切れ・倒置法。
解説
俊成女の歌。小町が都を去る思いを詠んだ歌を、花の散る心へと移しかえている。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、25頁(コマ22)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日