古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第二 春歌下 128番

花さそふ

宮内卿(くないきょう)

花を誘って散らす比良の山風が吹いたのだなあ。湖を漕いでいく舟の跡が、散り浮いた花で見えるほどに。

作者
宮內卿(宮内卿)
  1. 1五十首ごじつしゆ五十首ごじつしゆごじっしゅののの歌うた歌うたうた奉たてまつ奉たてまつたてまつりしりしりし中なか中なかなかににに、、、湖上花こしやうのはな湖上花こしやうのはなこしょうのはなををを詞書
  2. 2花はな花はなはなさそふさそふさそう初句
  3. 3比良ひら比良ひらひらののの山風やまかぜ山風やまかぜやまかぜ二句
  4. 4吹ふ吹ふふきにけりきにけりきにけり三句
  5. 5こぎこぎこぎ行ゆ行ゆゆくくく舟ふね舟ふねふねののの四句
  6. 6あとあとあと見み見みみゆるまでゆるまでゆるまで結句

引用の仕方

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現代語訳

〔詞書〕五十首歌を献上した中で、「湖上の花」という題で詠んだ歌。

花を誘って散らす比良の山風が吹いたのだなあ。湖を漕いでいく舟の跡が、散り浮いた花で見えるほどに。

意訳

比良の山から吹き下ろす風が桜の花を散らし、琵琶湖の湖面に花びらが一面に浮かんだ。その中を漕いでいく舟の通った跡が、くっきりと見える。

語釈・文法注

比良
琵琶湖の西岸の比良山。
あと見ゆるまで
舟の通った跡が見えるほどに。

和歌

作者
宮内卿(くないきょう) 生没年未詳(十二世紀末〜十三世紀初め)
源師光の娘。後鳥羽院に仕えた女房で、若くして歌才を認められ、千五百番歌合などで活躍したが、二十歳前後で亡くなったと伝えられる。「若草の宮内卿」と呼ばれた。
出典
『新古今和歌集』巻第二・春歌下・128番
歌体
短歌
状況
詞書「五十首の歌奉りし中に、湖上花を」(五十首歌を献上した中で、「湖上の花」という題で詠んだ歌)。

修辞

本歌取り
「世の中を何にたとへむ朝ぼらけ漕ぎゆく舟の跡なきがごと」(沙弥満誓)をふまえる。

解説

宮内卿の代表作。満誓の歌では跡が残らないとされた舟の跡が、ここでは花びらによって見えるという逆転がある。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、23頁(コマ21)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日