新古今和歌集 巻第二 春歌下 112番
風かよふ
風が通ってくる、寝覚めの袖の花の香りによって、枕までもが香っている春の夜の夢よ。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕千五百番歌合に詠んだ歌。
風が通ってくる、寝覚めの袖の花の香りによって、枕までもが香っている春の夜の夢よ。
意訳
春の夜、ふと目を覚ますと、風が運んできた花の香りが袖に移り、枕まで香っている。その香りの中で見ていた夢も、花の香りに包まれていた。夢とうつつ、香りと風が溶けあう艶やかな春の夜。
語釈・文法注
- 風かよふ
- 風が通う。吹き通ってくる。
- 寢覺
- 夜中にふと目を覚ますこと。
- かをる
- 香る。
和歌
- 作者
- 俊成女(藤原俊成女)(としなりのむすめ(しゅんぜいのむすめ)) 1171?–1254?
藤原俊成の孫で、養女となった。源通具の妻。後鳥羽院に仕え、千五百番歌合などで活躍した。余情に富む妖艶な歌風で、新古今時代を代表する女性歌人。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第二・春歌下・112番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「千五百番歌合に」(千五百番歌合に詠んだ歌)。
修辞
- 体言止め
- 「春の夜の夢」。
解説
俊成女の代表作の一つ。「花の香」「枕」「夢」と、ことばを連ねて余情を深める、新古今調の典型とされる。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、20頁(コマ20)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日