新古今和歌集 巻第二 春歌下 110番
春雨は
春雨よ、ひどく降らないでおくれ。桜の花を、まだ見ていない人がいるのに散ってしまうのが惜しいから。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
春雨よ、ひどく降らないでおくれ。桜の花を、まだ見ていない人がいるのに散ってしまうのが惜しいから。
意訳
春雨がひどく降ると桜が散ってしまう。まだ花を見ていない人がいるのに、散ってしまうのは惜しい。だから春雨よ、あまり強く降らないでくれ。
語釈・文法注
- いたく
- ひどく。
- な〜そ
- 禁止。降らないでくれ。
- 散らまく
- 「まく」は推量の助動詞「む」のク語法で、散ること。
和歌
- 作者
- 山部赤人(やまべのあかひと) 生没年未詳(奈良時代前期)
奈良時代の宮廷歌人。聖武天皇の行幸に従って多くの歌を詠んだ。清らかな自然を描いた叙景歌にすぐれ、柿本人麻呂とともに「歌聖」と称された。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第二・春歌下・110番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。
解説
『万葉集』巻十の作者未詳歌「春雨はいたくな降りそ桜花いまだ見なくに散らまく惜しも」の異伝が、赤人の歌として伝えられたもの。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、20頁(コマ20)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日