古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第二 春歌下 106番

寢も安く

凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)

安らかに眠ることもできないことだ。春の夜は、花の散る様子ばかりが夢に見えて。

詞書
「題しらず」(前の歌と同じ詞書)
作者
凡河内躬恒
  1. 1寢い寢いいももも安やす安やすやすくくく初句
  2. 2ねられざりけりねられざりけりねられざりけり二句
  3. 3春はる春はるはるののの夜よ夜よよははは三句
  4. 4花はな花はなはなののの散ち散ちちるのみるのみるのみ四句
  5. 5夢ゆめ夢ゆめゆめににに見み見みみえつゝえつゝえつつ結句

引用の仕方

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現代語訳

安らかに眠ることもできないことだ。春の夜は、花の散る様子ばかりが夢に見えて。

意訳

春の夜は、花が散ってしまうのではないかと気になって、ぐっすり眠れない。眠ってもそのことばかりが夢に出てくる。花を惜しむ心を、眠れない春の夜で表す。

語釈・文法注

寢も安く
安らかな眠りも。「寝(い)」は眠ること。
ねられざりけり
「れ」は可能の助動詞「る」の未然形。寝ることができなかった。

和歌

作者
凡河内躬恒(おおしこうちのみつね) 生没年未詳(九世紀末〜十世紀前半)
『古今和歌集』の撰者の一人。甲斐少目・和泉大掾など地方の下級官人を務めたが、歌才は宇多・醍醐両天皇に重んじられ、屏風歌や歌合で活躍した。貫之と並ぶ歌人とされる。三十六歌仙の一人。
出典
『新古今和歌集』巻第二・春歌下・106番
歌体
短歌
状況
題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。

解説

躬恒の歌。花を思うあまり安眠できないという、古今集風の誇張の表現。

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出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、19頁(コマ19)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日