古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第二 春歌下 105番

花にあかぬ

在原業平(ありわらのなりひら)

花を見飽きずに名残を惜しむ嘆きはいつもしてきたけれど、今日の今夜ほどの時はない。

詞書
「題しらず」(前の歌と同じ詞書)
作者
在原業平朝臣(在原業平)
  1. 1花はな花はなはなにあかぬにあかぬにあかぬ初句
  2. 2歎なげ歎なげなげきききはははいつもいつもいつも二句
  3. 3せしかどもせしかどもせしかども三句
  4. 4今日けふ今日けふきょうののの今夜こよひ今夜こよひこよいににに四句
  5. 5似に似ににるるる時とき時ときときはははなしなしなし結句

引用の仕方

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現代語訳

花を見飽きずに名残を惜しむ嘆きはいつもしてきたけれど、今日の今夜ほどの時はない。

意訳

花を見ても見飽きず、散るのを惜しむ思いは毎年のことだが、今夜ほどその思いが深いことはなかった。花の宴の一夜の名残惜しさを詠む。

語釈・文法注

あかぬ歎き
見飽きることのない、名残を惜しむ嘆き。
せしかども
「し」は過去の助動詞「き」の連体形。してきたけれど。
今日の今夜
今日のこの夜。

和歌

作者
在原業平(ありわらのなりひら) 825–880
平城天皇の皇子阿保親王の子。右近衛権中将などを務め、「在五中将」と呼ばれた。仮名序は「その心餘りて詞たらず」と評する。『伊勢物語』の主人公「昔男」のモデルとされる。六歌仙・三十六歌仙の一人。
出典
『新古今和歌集』巻第二・春歌下・105番
歌体
短歌
状況
題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。

解説

『伊勢物語』第二十九段に、東宮の女御の花の賀に召された男の歌として見える。作者の業平は六歌仙の一人。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、19頁(コマ19)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日