新古今和歌集 巻第二 春歌下 100番
いく年の
幾年もの春に、花のために心を尽くしてきたことだ。しみじみといとしいと思っておくれ、吉野の花よ。
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現代語訳
〔詞書〕千五百番歌合に詠んだ春の歌。
幾年もの春に、花のために心を尽くしてきたことだ。しみじみといとしいと思っておくれ、吉野の花よ。
意訳
毎年春が来るたびに、花を思って心を砕いてきた。長い年月そうして花を愛してきた私を、吉野の桜よ、いとしいと思ってくれ。老いた歌人が、生涯をかけて愛した花に呼びかける。
語釈・文法注
- 心をつくし
- あれこれと思いを尽くして。
- 來ぬ
- 「ぬ」は完了の助動詞。〜してきた。
- あはれと思へ
- いとしいと思え。命令形で花に呼びかける。
和歌
- 作者
- 藤原俊成(ふじわらのとしなり(しゅんぜい)) 1114–1204
藤原定家の父。『千載和歌集』を撰び、歌論書『古来風体抄』を著した。余情と「幽玄」を重んじる歌風で、御子左家の歌学の基礎を築き、新古今時代の歌人たちを導いた。法名は釈阿。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第二・春歌下・100番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「千五百番歌合に、春の歌」(千五百番歌合に詠んだ春の歌)。
修辞
- 擬人法
- 吉野の花に呼びかける。
- 三句切れ
- 三句切れ。
解説
千五百番歌合のころ、俊成は九十歳近い高齢だった。長い生涯の春を振り返る深い感慨がこもる。底本は作者を「皇太后宮太夫俊成」と刷る。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、18頁(コマ19)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日