新古今和歌集 巻第一 春歌上 87番
葛城や
葛城の高間山の桜が咲いたのだなあ。竜田山の奥に白雲がかかっているのが見えるのは。

現代語訳
〔詞書〕和歌所で歌をお詠みしました時に、春の歌として詠んだ歌。
葛城の高間山の桜が咲いたのだなあ。竜田山の奥に白雲がかかっているのが見えるのは。
意訳
竜田山の奥のほうに、白雲がかかっているように見える。あれは、葛城の高間山の桜が咲いたのだ。遠くの山の桜を白雲に見立てる。
語釈・文法注
- 葛城や
- 「や」は詠嘆。
- 高間
- 葛城山の主峰、金剛山の古名。
- 立田の奥に
- 竜田山の向こうに。
和歌
- 作者
- 寂蓮法師(じゃくれんほうし) 1139?–1202
俗名は藤原定長。藤原俊成の甥で養子となったが、定家が生まれると出家した。『新古今和歌集』の撰者に選ばれたが、完成前に没した。「三夕の歌」の一首「さびしさはその色としもなかりけり」で知られる。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第一・春歌上・87番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「和歌所にて歌つかうまつりしに、春の歌とてよめる」(和歌所で歌をお詠みしました時に、春の歌として詠んだ歌)。
修辞
- 見立て
- 遠くの山桜を白雲に見立てる。
- 三句切れ・倒置法
- 三句切れ・倒置法。
解説
寂蓮の歌。大和の山々を見渡す大きな構図の中に、桜の開花をとらえる。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、16頁(コマ18)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日