古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第一 春歌上 85番

行かむ人

大伴家持(おおとものやかもち)

旅立って行く人も、やって来る人も、心にとめてしのんでくれ。春霞の立つ竜田山の初桜の花を。

春霞の立つ竜田山の初桜を、山道を行き交う人々が眺めている場面
春霞の立つ竜田山の初桜を、山道を行き交う人々が眺めている場面
詞書
「題しらず」(前の歌と同じ詞書)
作者
中納言家持(大伴家持)
  1. 1行ゆ行ゆゆかむかむかむ人ひと人ひとひと初句
  2. 2來こ來ここむむむ人ひと人ひとひと忍しの忍しのしのべべべ二句
  3. 3春霞はるがすみ春霞はるがすみはるがすみ三句
  4. 4たつたつたつ田た田たたののの山やま山やまやまののの四句
  5. 5初櫻はつざくら初櫻はつざくらはつざくらばなばなばな結句

引用の仕方

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現代語訳

旅立って行く人も、やって来る人も、心にとめてしのんでくれ。春霞の立つ竜田山の初桜の花を。

意訳

竜田山を越えて行く人も来る人も、この初桜の美しさを心にとめておいてほしい。旅人の行き交う竜田山の、咲きはじめた桜を詠む。

語釈・文法注

忍べ
思い起こしてほしい。
春霞
霞が「立つ」ことから「たつ田」にかかる。
たつ田の山
大和と河内の境の竜田山。

和歌

作者
大伴家持(おおとものやかもち) 718?–785
大伴旅人の子。越中守などを経て中納言に至った。『万葉集』の編纂に深く関わったとされ、同集に最も多くの歌を残す。繊細で抒情的な歌風で知られる。三十六歌仙の一人。
出典
『新古今和歌集』巻第一・春歌上・85番
歌体
短歌
状況
題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。

修辞

枕詞的用法
「春霞」が「たつ(竜田)」を導く。
体言止め
体言止め。

解説

『万葉集』巻十の作者未詳歌の異伝が、家持の歌として伝えられたもの。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、16頁(コマ18)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日