古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第一 春歌上 83番

今櫻

式子内親王(しょくしないしんのう)

今、桜が咲いたと見えて、うっすらと曇り、春らしく霞んでいる世の中の様子であることよ。

桜が咲き始めた春の山野に薄雲が広がり、あたりが淡く霞んでいる場面
桜が咲き始めた春の山野に薄雲が広がり、あたりが淡く霞んでいる場面
作者
式子內親王(式子内親王)
  1. 1百首ひやくしゆ百首ひやくしゆひゃくしゅののの歌うた歌うたうた奉たてまつ奉たてまつたてまつりしりしりし時とき時ときとき詞書
  2. 2今いま今いまいま櫻ざくら櫻ざくらざくら初句
  3. 3さきぬとさきぬとさきぬと見み見みみえてえてえて二句
  4. 4うすぐもりうすぐもりうすぐもり三句
  5. 5春はる春はるはるにかすめるにかすめるにかすめる四句
  6. 6世よ世よよののの氣色けしき氣色けしきけしきかなかなかな結句

引用の仕方

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現代語訳

〔詞書〕百首歌を献上した時の歌。

今、桜が咲いたと見えて、うっすらと曇り、春らしく霞んでいる世の中の様子であることよ。

意訳

今まさに桜が咲いたらしく、空はうっすらと曇って、世界全体が春の霞に包まれている。桜の開花を、一本の木ではなく、世の中全体の気配としてとらえる。

語釈・文法注

今櫻
今、桜が。
うすぐもり
うっすらと曇って。
けしき
様子、ありさま。

和歌

作者
式子内親王(しょくしないしんのう) ?–1201
後白河天皇の皇女。賀茂の斎院を務めた。藤原俊成に和歌を学び、内に秘めた激しい情を静かな調べで詠んだ。『新古今和歌集』に女性歌人として最も多い四十九首が入る。
出典
『新古今和歌集』巻第一・春歌上・83番
歌体
短歌
状況
詞書「百首の歌奉りし時」(百首歌を献上した時の歌)。

修辞

体言止めに近く、「けしきかな」と詠嘆で結ぶ
体言止めに近く、「けしきかな」と詠嘆で結ぶ。

解説

正治二年(1200)の百首歌での式子内親王の作。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、15頁(コマ17)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日