新古今和歌集 巻第一 春歌上 82番
思ふどち
気の合う仲間どうし、どこともわからずに野をさまよい歩いて日が暮れてしまった。花の宿を貸しておくれ、野辺の鶯よ。

現代語訳
〔詞書〕摂政太政大臣(良経)の家の百首歌合で、「野遊」の題で詠んだ歌。
気の合う仲間どうし、どこともわからずに野をさまよい歩いて日が暮れてしまった。花の宿を貸しておくれ、野辺の鶯よ。
意訳
親しい友人たちと花を求めて野を歩き回るうちに、どこまで来たかもわからないまま日が暮れた。野辺の鶯よ、お前の住む花の陰を、今夜の宿として貸してくれ。
語釈・文法注
- 思ふどち
- 気の合う仲間どうし。
- 行きくれぬ
- 歩き続けるうちに日が暮れた。
- 宿かせ
- 宿を貸せ。命令形。
和歌
- 作者
- 藤原家隆(ふじわらのいえたか(かりゅう)) 1158–1237
藤原俊成に和歌を学び、定家と並ぶ新古今時代の代表的歌人。『新古今和歌集』の撰者の一人。温雅で清澄な歌風で、生涯に六万首を詠んだと伝えられる。晩年は出家して壬生二品と呼ばれた。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第一・春歌上・82番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「攝政太政大臣家の百首の歌合に野遊の心を」(摂政太政大臣(良経)の家の百首歌合で、「野遊」の題で詠んだ歌)。
修辞
- 三句切れ
- 三句切れ。
- 擬人法
- 鶯に呼びかける。
解説
六百番歌合での作。花の陰を鶯の宿とみなし、それを人に貸してほしいと頼む、ほほえましい趣向。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、15頁(コマ17)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日