古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第一 春歌上 76番

うすくこき

宮内卿(くないきょう)

薄い所も濃い所もある野辺の緑の若草によって、雪がまだらに消えていった跡までが見えることだ。

野辺の若草に薄い緑と濃い緑が広がり、雪がまだらに消えた跡を示している場面
野辺の若草に薄い緑と濃い緑が広がり、雪がまだらに消えた跡を示している場面
詞書
「千五百番歌合に、春の歌」(前の歌と同じ詞書)
作者
宮内卿
  1. 1うすくこきうすくこきうすくこき初句
  2. 2野邊のべ野邊のべのべののの綠みどり綠みどりみどりののの二句
  3. 3若草わかくさ若草わかくさわかくさににに三句
  4. 4跡あと跡あとあとまでまでまで見み見みみゆるゆるゆる四句
  5. 5雪ゆき雪ゆきゆきのむらのむらのむら消ぎ消ぎぎえええ結句

引用の仕方

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現代語訳

薄い所も濃い所もある野辺の緑の若草によって、雪がまだらに消えていった跡までが見えることだ。

意訳

野辺の若草は、緑の濃い所と薄い所がある。それは、雪が早く消えた所では草がよく伸び、遅くまで残った所ではまだ短いからだ。若草の色の濃淡に、雪の消え方の跡を読み取る。

語釈・文法注

うすくこき
薄かったり濃かったりする。
むら消え
まだらに消えること。

和歌

作者
宮内卿(くないきょう) 生没年未詳(十二世紀末〜十三世紀初め)
源師光の娘。後鳥羽院に仕えた女房で、若くして歌才を認められ、千五百番歌合などで活躍したが、二十歳前後で亡くなったと伝えられる。「若草の宮内卿」と呼ばれた。
出典
『新古今和歌集』巻第一・春歌上・76番
歌体
短歌
状況
詞書「千五百番歌合に、春の歌」(千五百番歌合に詠んだ春の歌)。

修辞

体言止め
「雪のむら消え」。

解説

千五百番歌合での作。若草の緑の濃淡から、すでに消えた雪の跡を見通す繊細な観察で知られ、作者の宮内卿は「若草の宮内卿」と呼ばれた。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、14頁(コマ17)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日