新古今和歌集 巻第一 春歌上 73番
春風の
春風が霞を吹き解いた、その切れ間から、乱れてなびく青柳の糸のような枝が見える。

現代語訳
〔詞書〕百首歌を詠みました時に、春の歌として詠んだ歌。
春風が霞を吹き解いた、その切れ間から、乱れてなびく青柳の糸のような枝が見える。
意訳
春風が吹いて、立ちこめていた霞がほどけた。その切れ間から、風に乱れてなびく柳の枝が見える。霞・風・柳を、「解く」「乱る」「糸」という縫い物の連想でつなぐ。
語釈・文法注
- 霞ふきとく
- 霞を吹いてほどく。霞を布や糸の結び目にたとえる。
- 絕間
- 切れ間。
和歌
- 作者
- 殷富門院大輔(いんぷもんいんのたいふ) 1131?–1200?
藤原信成の娘。後白河天皇の皇女殷富門院亮子内親王に仕えた女房。多作で知られ、「千首大輔」と呼ばれた。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第一・春歌上・73番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「百首の歌よみ侍りける時、春の歌とてよめる」(百首歌を詠みました時に、春の歌として詠んだ歌)。
修辞
- 縁語
- 「とく」「みだれ」「いと」。
- 体言止め
- 「青柳の絲」。
解説
作者の殷富門院大輔は多作で知られた女房歌人。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、14頁(コマ17)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日