新古今和歌集 巻第一 春歌上 68番
春雨の
春雨が降りはじめてから、青柳の枝の、糸のような緑の色がいっそう濃くなったことだ。

現代語訳
〔詞書〕延喜の御代の、御屏風に添えた歌。
春雨が降りはじめてから、青柳の枝の、糸のような緑の色がいっそう濃くなったことだ。
意訳
春雨が降りはじめると、柳の細い枝の緑が日ごとに鮮やかさを増していく。春雨が柳を染めているかのようだ。
語釈・文法注
- ふりそめし
- 降りはじめた。
- 青柳の絲
- 柳の細くしなやかな枝を糸にたとえる。
- 色まさりける
- 「ぞ」の結びで連体形。色が濃くなった。
和歌
- 作者
- 凡河内躬恒(おおしこうちのみつね) 生没年未詳(九世紀末〜十世紀前半)
『古今和歌集』の撰者の一人。甲斐少目・和泉大掾など地方の下級官人を務めたが、歌才は宇多・醍醐両天皇に重んじられ、屏風歌や歌合で活躍した。貫之と並ぶ歌人とされる。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第一・春歌上・68番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「延喜の御時、御屏風に」(延喜の御代の、御屏風に添えた歌)。
修辞
- 見立て
- 柳の枝を糸に見立てる。
- 縁語
- 「絲」と「(雨が)ふる(経る)」などを関連づける説もある。
解説
躬恒の屏風歌。春雨が柳の緑を深めるという、古今集の時代によく詠まれた趣向。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、13頁(コマ16)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日