古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第一 春歌上 47番

梅の花

俊成女(藤原俊成女)(としなりのむすめ(しゅんぜいのむすめ))

梅の花の、見飽きることのない色も香りも昔のままで、同じく昔の思い出の形見である春の夜の月よ。

昔のままに咲く梅を前に、女房が春の夜の月を眺めて思い出をたどっている場面
昔のままに咲く梅を前に、女房が春の夜の月を眺めて思い出をたどっている場面
詞書
「千五百番歌合に」(前の歌と同じ詞書)
作者
皇太后宮大夫俊成女(俊成女(藤原俊成女))
  1. 1梅うめ梅うめうめののの花はな花はなはな初句
  2. 2あかぬあかぬあかぬ色香いろか色香いろかいろかももも二句
  3. 3むかしにてむかしにてむかしにて三句
  4. 4同おな同おなおなじかたみのじかたみのじかたみの四句
  5. 5春はる春はるはるののの夜よ夜よよののの月つき月つきつき結句

引用の仕方

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現代語訳

梅の花の、見飽きることのない色も香りも昔のままで、同じく昔の思い出の形見である春の夜の月よ。

意訳

梅の花の美しい色も香りも、昔と少しも変わらない。そして春の夜の月もまた、昔と同じように照っていて、過ぎ去った日々の形見となっている。変わらない自然と、戻らない昔への思いを重ねる。

語釈・文法注

あかぬ
飽きることのない。いつまでも見ていたい。
むかしにて
昔のままで。
かたみ
思い出のよすが。

和歌

作者
俊成女(藤原俊成女)(としなりのむすめ(しゅんぜいのむすめ)) 1171?–1254?
藤原俊成の孫で、養女となった。源通具の妻。後鳥羽院に仕え、千五百番歌合などで活躍した。余情に富む妖艶な歌風で、新古今時代を代表する女性歌人。
出典
『新古今和歌集』巻第一・春歌上・47番
歌体
短歌
状況
詞書「千五百番歌合に」(千五百番歌合に詠んだ歌)。

修辞

本歌取り
『伊勢物語』第四段の「月やあらぬ春や昔の春ならぬ」をふまえる。
体言止め
体言止め。

解説

作者の俊成女は俊成の孫で養女。余情に富む歌風で知られ、ここでも業平の歌の世界を、静かな哀感のうちに詠みかえている。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、9頁(コマ14)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日