新古今和歌集 巻第一 春歌上 29番
梓弓
春の山の近くに住まいを構えて、絶えず聞いていた鶯の声よ。

現代語訳
春の山の近くに住まいを構えて、絶えず聞いていた鶯の声よ。
意訳
春の山のそばに家を構えたので、鶯の声を絶えず聞いて過ごした。春の山里の暮らしの楽しさを、素直なことばで詠む。
語釈・文法注
- 梓弓
- 梓の木で作った弓。弓を「張る」ことから、「春」にかかる枕詞。
- 家居
- 住まいを構えること。
- 聞きつる
- 「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形。
和歌
- 作者
- 山部赤人(やまべのあかひと) 生没年未詳(奈良時代前期)
奈良時代の宮廷歌人。聖武天皇の行幸に従って多くの歌を詠んだ。清らかな自然を描いた叙景歌にすぐれ、柿本人麻呂とともに「歌聖」と称された。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第一・春歌上・29番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「春の歌とて」(春の歌として詠んだ歌)。
修辞
- 枕詞
- 「梓弓」が「はる(春)」にかかる。
- 体言止め
- 「鶯の声」。
解説
『万葉集』巻十の作者未詳歌「梓弓春山近く家居らば継ぎて聞くらむ鶯の声」の異伝が、赤人の歌として伝えられたもの。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、6頁(コマ13)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日