新古今和歌集 巻第一 春歌上 28番
梅が枝に
梅の枝に、心が重くなるほどに散りかかる雪を、花だとは言うまい。春の評判を落とすことになるから。

現代語訳
梅の枝に、心が重くなるほどに散りかかる雪を、花だとは言うまい。春の評判を落とすことになるから。
意訳
梅の枝に、うんざりするほど雪が散りかかっている。これを梅の花と言いたいところだが、言えば春らしからぬ寒さを春のせいにすることになり、春の名を汚してしまう。雪を花に見立てる伝統的な趣向を、わざと退けてみせる機知の歌。
語釈・文法注
- ものうき
- 気が進まず、うっとうしい。
- いはじ
- 「じ」は打消の意志の助動詞。言うまい。
- 名だて
- 評判が立つこと。ここでは悪い評判。
和歌
- 作者
- 源重之(みなもとのしげゆき) ?–1000?
清和天皇の曽孫。相模権守などの地方官を歴任し、陸奥で没した。冷泉天皇の東宮時代に献上した「重之百首」は、現存最古の百首歌とされる。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第一・春歌上・28番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「春の歌とて」(春の歌として詠んだ歌)。
解説
雪を花に見立てる古今集以来の趣向をふまえながら、それをあえて否定する逆転の発想がおもしろい。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、6頁(コマ13)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日