古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第一 春歌上 22番

いづれをか

凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)

どれを花と見分けたらよいのだろうか。古い里の春日の原に、まだ消えずに残っている雪は。

春日の原に残る雪が白い花のように点在し、草の緑に浮かんでいる場面
春日の原に残る雪が白い花のように点在し、草の緑に浮かんでいる場面
詞書
「題しらず」(前の歌と同じ詞書)
作者
凡河內躬恒(凡河内躬恒)
  1. 1いづれいづれいずれをををかかか初句
  2. 2花はな花はなはなとととはははわかむわかむわかむ二句
  3. 3故鄕ふるさと故鄕ふるさとふるさとののの三句
  4. 4春日かすが春日かすがかすがのののはらにはらにはらに四句
  5. 5まだまだまだ消き消ききえぬえぬえぬ雪ゆき雪ゆきゆき結句

引用の仕方

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現代語訳

どれを花と見分けたらよいのだろうか。古い里の春日の原に、まだ消えずに残っている雪は。

意訳

古都の春日の原に残る雪が、白い花のように見えて、どれが花でどれが雪か見分けがつかない。春の野の残雪を花に見立てる。

語釈・文法注

いづれをか
「か」は疑問の係助詞で、「わかむ」が連体形の結び。
わかむ
見分けようか。
故鄕
古い都。ここでは奈良。

和歌

作者
凡河内躬恒(おおしこうちのみつね) 生没年未詳(九世紀末〜十世紀前半)
『古今和歌集』の撰者の一人。甲斐少目・和泉大掾など地方の下級官人を務めたが、歌才は宇多・醍醐両天皇に重んじられ、屏風歌や歌合で活躍した。貫之と並ぶ歌人とされる。三十六歌仙の一人。
出典
『新古今和歌集』巻第一・春歌上・22番
歌体
短歌
状況
題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。

修辞

見立て
残雪を白い花に見立てる。
体言止め
「まだ消えぬ雪」。

解説

躬恒は『古今和歌集』の撰者の一人。底本は第二句を「花とはわかむ」とするが、「花ともわかむ」とする本もある。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、4頁(コマ12)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日