古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第一 春歌上 21番

今更に

読人しらず(よみびとしらず)

今さら雪が降るだろうか、いや降りはしないだろう。陽炎の燃え立つ春の日になってしまったのだから。

春の日差しに野の陽炎がゆらめき、暖かな季節の広がりを感じさせる場面
春の日差しに野の陽炎がゆらめき、暖かな季節の広がりを感じさせる場面
詞書
「題しらず」(前の歌と同じ詞書)
作者
讀人しらず(読人しらず)
  1. 1今更いまさら今更いまさらいまさらににに初句
  2. 2雪ゆき雪ゆきゆきふらめやもふらめやもふらめやも二句
  3. 3陽炎かげろふ陽炎かげろふかげろうののの三句
  4. 4もゆるもゆるもゆる春はる春はるはる日ひ日ひひととと四句
  5. 5なりにしものなりにしものなりにしものををを結句

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

今さら雪が降るだろうか、いや降りはしないだろう。陽炎の燃え立つ春の日になってしまったのだから。

意訳

野には陽炎がゆらめき立つ、のどかな春の日になった。もう雪が降ることはないだろう。暖かな春の到来を確かめるように、ゆったりと詠む。

語釈・文法注

ふらめやも
「め」は推量の助動詞「む」の已然形、「やも」は反語。降るだろうか、いや降らない。
陽炎
春の日に地面から立ちのぼって、ものがゆらいで見える現象。
ものを
〜のに。〜のだから。

和歌

作者
読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『新古今和歌集』では、『万葉集』の歌や古い歌集から採った歌、伝承の歌などが多い。
出典
『新古今和歌集』巻第一・春歌上・21番
歌体
短歌
状況
題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。

修辞

反語
「雪ふらめやも」。

解説

『万葉集』巻十の作者未詳歌の異伝。底本は「春日」と書くが、ここでは「はるひ(春の日)」と読む。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、4頁(コマ12)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日