新古今和歌集 巻第一 春歌上 18番
鶯の
鶯は鳴いているけれど、まだ降り続く雪に、杉の葉が白く覆われている逢坂の山よ。

現代語訳
〔詞書〕和歌所で「関路の鶯」という題を詠んだ歌。
鶯は鳴いているけれど、まだ降り続く雪に、杉の葉が白く覆われている逢坂の山よ。
意訳
逢坂の関の山道では、鶯がもう春を告げて鳴いているのに、雪はまだ降り、杉の葉は白い。声の上では春、景色の上ではまだ冬という、季節の境目の関所の情景を描く。
語釈・文法注
- 和歌所
- 後鳥羽院が建仁元年(1201)に設けた、勅撰集の撰集などを行う役所。
- 關路
- 関所に通じる道。
- 逢坂の山
- 山城と近江の境にある山で、逢坂の関があった。
和歌
- 作者
- 後鳥羽院(ごとばいん) 1180–1239
第八十二代天皇。譲位後に院政を行い、和歌所を置いて『新古今和歌集』の撰集を命じ、自らも撰歌と切継に深く関わった。承久の乱(1221)に敗れて隠岐に配流され、配所でも集の精選(隠岐本)を続けた。『新古今和歌集』では「太上天皇」と記され、三十三首が入る。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第一・春歌上・18番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「和歌所にて關路鶯といふことを」(和歌所で「関路の鶯」という題を詠んだ歌)。
修辞
- 体言止め
- 「逢坂の山」で結ぶ。
解説
題詠の歌。逢坂は「逢ふ」に通じ、また都と東国の境として多くの歌に詠まれた歌枕である。鶯の声と白い杉の葉の対比に、後鳥羽院の鮮やかな色彩感覚が表れている。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、4頁(コマ12)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日