新古今和歌集 巻第一 春歌上 19番
春きては
春が来たのだから、花とも見よというように、片岡の松の上の葉に淡雪が降りかかっている。

現代語訳
〔詞書〕堀河院に百首歌を献上しました時の、残雪の心を詠みました歌。
春が来たのだから、花とも見よというように、片岡の松の上の葉に淡雪が降りかかっている。
意訳
春になっても花はまだ咲かないが、片岡の松の上葉に淡雪が積もって、まるで花が咲いたように見せている。まるで雪が「これを花と見てくれ」と言っているようだと、雪を擬人化して詠む。
語釈・文法注
- 片岡
- 大和国の歌枕。一方が切り立った丘の意にも用いる。
- 上葉
- 上のほうの葉。
- 花とも見よと
- 花と見なせというように。
和歌
- 作者
- 藤原仲実(ふじわらのなかざね) 1057–1118
藤原能成の子。越前守・備中守などを務めた。堀河天皇の歌壇で活躍し、『堀河百首』の作者の一人。歌学書『綺語抄』を著した。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第一・春歌上・19番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「堀河院に百首の歌奉りける殘雪の心をよみ侍りける」(堀河院に百首歌を献上しました時の、残雪の心を詠みました歌)。
修辞
- 見立て
- 松の葉に積もる雪を花に見立てる。
- 擬人法
- 擬人法。
解説
『堀河百首』の「残雪」題の歌。雪を花に見立てるのは古今集以来の伝統的な趣向である。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、4頁(コマ12)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日