新古今和歌集 巻第一 春歌上 12番
春日野の
春日野の草はすっかり緑になったことだ。若菜を摘もうと、誰がしるしをつけておいたのだろうか。

現代語訳
〔詞書〕天暦の御代の屏風の歌。
春日野の草はすっかり緑になったことだ。若菜を摘もうと、誰がしるしをつけておいたのだろうか。
意訳
春日野の草が一面に緑になった。こんなに見事な若菜の野を、いったい誰が摘もうと占めていたのだろう。屏風に描かれた若菜の野を見て、その絵の中の人に思いをはせる。
語釈・文法注
- 天暦の御時
- 村上天皇の時代(947〜957)。
- しめけむ
- 「しむ」は標を張って自分のものとすること。「けむ」は過去推量の助動詞。
和歌
- 作者
- 壬生忠見(みぶのただみ) 生没年未詳(十世紀中ごろ)
壬生忠岑の子。天徳四年(960)の内裏歌合で平兼盛と競って敗れ、それを嘆いて病死したという逸話がある。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第一・春歌上・12番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「天曆の御時屏風の歌」(天暦の御代の屏風の歌)。
解説
屏風絵に添えて詠んだ屏風歌。作者の忠見は天徳内裏歌合で「恋すてふ」の歌を詠んだ歌人で、百人一首にも採られている。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、3頁(コマ11)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日