新古今和歌集 巻第一 春歌上 11番
あすからは
明日からは若菜を摘もうと、しるしをつけておいた野に、昨日も今日も雪が降り続いている。

現代語訳
明日からは若菜を摘もうと、しるしをつけておいた野に、昨日も今日も雪が降り続いている。
意訳
若菜摘みを楽しみに、人が入らないよう標を張っておいた野なのに、雪がやまずに降り続き、摘みに行けない。春を待ちわびる気持ちを、素直なことばで詠む。
語釈・文法注
- 若菜
- 春の初めに摘んで食べる七草などの若い菜。邪気をはらうとされた。
- 標めし
- 「標(し)む」は、自分の領分であることを示すために縄などでしるしをすること。
- つつ
- 反復・継続。
和歌
- 作者
- 山部赤人(やまべのあかひと) 生没年未詳(奈良時代前期)
奈良時代の宮廷歌人。聖武天皇の行幸に従って多くの歌を詠んだ。清らかな自然を描いた叙景歌にすぐれ、柿本人麻呂とともに「歌聖」と称された。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第一・春歌上・11番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。
解説
『万葉集』巻八の山部赤人の歌「明日よりは春菜摘まむと標めし野に昨日も今日も雪は降りつつ」の異伝。上の句と下の句に「明日」「昨日も今日も」と時を重ね、待つ心を表す。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、3頁(コマ11)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日