古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第一 春歌上 5番

今日といへば

藤原俊成(ふじわらのとしなり(しゅんぜい))

今日が立春だというので、唐土(中国)までも行き渡る春なのに、都にだけ来るものと思っていたことだ。

立春の都で、歌人が海の向こうにも広がる春を思い、遠い空を眺めている場面
立春の都で、歌人が海の向こうにも広がる春を思い、遠い空を眺めている場面
作者
皇太后宮大夫俊成(藤原俊成)
  1. 1入道前關白太政大臣にふだうさきのくわんぱくだいじやうだいじん入道前關白太政大臣にふだうさきのくわんぱくだいじやうだいじんにゅうどうさきのかんぱくだいじょうだいじん右大臣うだいじん右大臣うだいじんうだいじんににに侍はべ侍はべはべりけるりけるりける時とき時ときとき、、、百首ひやくしゆ百首ひやくしゆひゃくしゅののの歌うた歌うたうたよませよませよませ侍はべ侍はべはべりけるにりけるにりけるに、、、立春りつしゆん立春りつしゆんりっしゅんののの心こころ心こころこころををを詞書
  2. 2今日けふ今日けふきょうといへばといへばといえば初句
  3. 3もろこしもろこしもろこし迄まで迄までまでももも二句
  4. 4行ゆ行ゆゆくくく春はる春はるはるををを三句
  5. 5都みやこ都みやこみやこにのみとにのみとにのみと四句
  6. 6思おも思おもおもひけるかなひけるかないけるかな結句

引用の仕方

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現代語訳

〔詞書〕入道前関白太政大臣(藤原兼実)が右大臣であった時、百首歌を詠ませました折に、立春の心を詠んだ歌。

今日が立春だというので、唐土(中国)までも行き渡る春なのに、都にだけ来るものと思っていたことだ。

意訳

立春の日、春は都だけでなく、遠い唐土にまで同じように訪れている。そう気づいて、春を都だけのものと思い込んでいた自分の狭い心を振り返る。春の広がりを、海の向こうにまで思いを馳せる大きな構図で詠む。

語釈・文法注

もろこし
中国。遠く隔たった国の代表。
行く春
ここでは過ぎ去る春ではなく、各地へ行き渡る春。
思ひけるかな
「けるかな」は気づきの詠嘆。

和歌

作者
藤原俊成(ふじわらのとしなり(しゅんぜい)) 1114–1204
藤原定家の父。『千載和歌集』を撰び、歌論書『古来風体抄』を著した。余情と「幽玄」を重んじる歌風で、御子左家の歌学の基礎を築き、新古今時代の歌人たちを導いた。法名は釈阿。
出典
『新古今和歌集』巻第一・春歌上・5番
歌体
短歌
状況
詞書「入道前關白太政大臣右大臣に侍りける時、百首の歌よませ侍りけるに、立春の心を」(入道前関白太政大臣(藤原兼実)が右大臣であった時、百首歌を詠ませました折に、立春の心を詠んだ歌)。

解説

詞書の「入道前関白太政大臣」は九条兼実。治承二年(1178)ごろの「右大臣家百首」での作。作者の俊成は定家の父で、新古今時代の歌人たちの師にあたる。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、1〜2頁(コマ10)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日