万葉集 巻第二十 4515番
秋風の すゑ吹き靡く
天平宝字2年7月5日、因幡守となった大伴家持を送る宴が大原今城の家で催された時の家持の歌。秋風が梢を吹きなびかせる萩の花を、一緒に髪に挿すこともなく別れることだろうかという歌。
場面イラスト(準備中)
題詞七月五日、治部少輔大原今城眞人の宅にて、因幡守大伴宿禰家持を餞する宴の歌一首
現代語訳
秋風が梢を吹きなびかせる萩の花を、ともに髪に挿して楽しむこともなく、別れることになるのだろうか。
意訳
因幡国へ赴任する家持が、萩の盛りを友と楽しめないまま別れる名残惜しさを詠んだ歌である。
語釈・文法注
文法・本文
- すゑ
- 枝の先、梢。
- 挿頭さず
- 「かざさず」。髪に挿さないで。
- 相か別れむ
- 別れることになるのだろうか。
和歌
- 作者
- 大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。 - 出典
- 『万葉集』巻第二十・部立なし・4515番
- 歌体
- 短歌(五七五七七)
- 時期
- 第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
- 状況
- 天平宝字2年7月5日、因幡守に任じられた家持を送る宴で、家持が詠んだ歌。
修辞
- 詠嘆
- 別れを惜しむ。
解説
家持は翌年正月、因幡国庁で万葉集最後の歌(4516番)を詠む。
関連
出典
- 底本
- 佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、753頁(コマ169)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 原文
- 佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、891頁(コマ209)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日