古典ライブラリー

万葉集 巻第二十 4494番

水鳥の 鴨の羽の色の

大伴家持(おおとものやかもち)

天平宝字2年正月7日の白馬節会の宴のために、大伴家持が前もって作った歌。水鳥の鴨の羽の色をした青馬を、今日見る人は、命が限りなく長いというという歌。

宮中の庭を引かれていく青馬

題詞(七日の侍宴の爲に、預て作れる歌一首)

  1. 1水鳥みづとり水鳥みづとりみずとりののの水鳥乃
  2. 2鴨かも鴨かもかもののの羽は羽ははののの色いろ色いろいろののの可毛能羽能伊呂乃
  3. 3青馬あをうま青馬あをうまあおうまををを青馬乎
  4. 4今日けふ今日けふきょう見み見みみるるる人ひと人ひとひとははは家布美流比等波
  5. 5かぎりかぎりかぎり無な無ななしししととと云い云いいふふう可藝利奈之等伊布

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

水鳥の鴨の羽の色をした青馬を、今日見る人は、命が限りなく長いという。

意訳

正月7日に青馬を見ると一年の邪気を払い長寿を得るという白馬節会の言い伝えを詠み、宴を言祝いだ歌である。

語釈・文法注

文法・本文

鴨の羽の色の
鴨の羽の色をした。青黒い色。
青馬
「あをうま」。正月7日に宮中で天皇がご覧になる馬。
かぎり無し
命が限りない。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。
出典
『万葉集』巻第二十・部立なし・4494番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
正月7日の白馬節会の宴のために家持が前もって作った歌。仁王会のため宴は6日に繰り上げられ、奏上されなかった。

修辞

言祝ぎ
青馬を見る人の長寿を詠む。

解説

白馬節会(あおうまのせちえ)は、のちに白馬を用いるようになっても「あおうま」と呼ばれた。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、750頁(コマ168)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、886頁(コマ207)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日