古典ライブラリー

万葉集 巻第二十 4492番

月數めば いまだ冬なり

大伴家持(おおとものやかもち)

天平宝字元年12月23日、治部少輔大原今城の家で宴をした時の大伴家持の歌。月を数えればまだ冬だ、それなのに霞がたなびいている、春になったというのかという歌。

冬の山にたなびく春霞

題詞二十三日、治部少輔大原今城眞人の宅にて宴せる歌一首

  1. 1月つき月つきつき數よ數よよめめめばばば都奇餘米婆
  2. 2いまだいまだいまだ冬ふゆ冬ふゆふゆなりなりなり伊麻太冬奈里
  3. 3しかすがしかすがしかすがににに之可須我爾
  4. 4霞かすみ霞かすみかすみたなびくたなびくたなびく霞多奈婢久
  5. 5春はる春はるはる立た立たたちちちぬぬぬとととかかか波流多知奴等可

引用の仕方

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現代語訳

月を数えれば、まだ冬である。それなのに霞がたなびいている。春になったというのか。

意訳

暦の月ではまだ十二月だが、年内に立春を迎えて霞がたなびく景色に、春の訪れを感じた歌である。

語釈・文法注

文法・本文

月數めば
「つきよめば」。月を数えれば。
しかすがに
そうはいうものの。
春立ちぬとか
春になったというのか。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。
出典
『万葉集』巻第二十・部立なし・4492番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
天平宝字元年12月23日、大原今城の家での宴の歌。12月19日が立春であった。

修辞

年内立春
暦の冬と季節の春の食い違いを詠む。

解説

古今集巻頭の「年の内に春は来にけり」と同じ、年内立春を詠んだ歌である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、749頁(コマ167)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、886頁(コマ207)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日