古典ライブラリー

万葉集 巻第二十 4470番

泡沫なす 假れる身ぞとは

大伴家持(おおとものやかもち)

長寿を願って大伴家持が作った歌。水の泡のようなかりそめの身だとは知っているが、それでもやはり千年の命を願ってしまうという歌。

水面に浮かんでは消える泡

題詞壽を願ひて作れる歌一首

  1. 1泡沫みつぼ泡沫みつぼみつぼなすなすなす美都煩奈須
  2. 2假か假かかれれれるるる身み身みみぞぞぞとととははは可禮流身曾等波
  3. 3知し知ししれれれれれれどもどもども之禮禮杼母
  4. 4猶なほ猶なほなおししし願ねが願ねがねがひひいつつつ奈保之禰我比都
  5. 5千歲ちとせ千歲ちとせちとせののの命いのち命いのちいのちををを知等世能伊乃知乎

引用の仕方

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現代語訳

水の泡のようなかりそめの身であるとは知っているけれども、それでもやはり願ってしまった。千年の命を。

意訳

無常を悟って仏道を求めようとしながらも、なお長い命を願わずにいられない人の心を、率直に詠んだ歌である。

語釈・文法注

文法・本文

泡沫なす
「みつぼなす」。水の泡のような。
假れる身
仮の身。
知れれども
知っているけれども。
猶し
それでもやはり。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。
出典
『万葉集』巻第二十・部立なし・4470番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
天平勝宝8年6月17日、家持が長寿を願って作った歌。

修辞

倒置
「千歳の命を」を最後に置く。
比喩
身を水の泡にたとえる。

解説

前の二首で無常を悲しみ仏道を求めた家持が、なお長寿を願う心を正直に詠んでいる。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、745頁(コマ165)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、881頁(コマ204)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日