古典ライブラリー

万葉集 巻第二十 4463〜4464番

ほととぎす まづ鳴く朝け

大伴家持(おおとものやかもち)

天平勝宝8年3月20日、大伴家持が興にまかせて作った歌二首。ほととぎすが初めて鳴く朝明けに、どうしたら我が家の門を過ぎずに、後々まで語り継がれるように鳴いてくれるだろうかという歌、ほととぎすの声を心にかけながら、あなたの家の松の木陰で紐を解いてくつろぐ月が近づいたという歌。

夜明けの門のそばの松の木で鳴くほととぎす

題詞(二十日、興に依りて作れる歌二首)

  1. 1ほととぎすほととぎすほととぎす保等登藝須4463
  2. 2まづまづまず鳴な鳴ななくくく朝あさ朝あさあさけけけ麻豆奈久安佐氣
  3. 3いかいかいかにににせせせばばば伊可爾世婆
  4. 4我わ我わわががが門かど門かどかど過す過すすぎぎぎじじじ和我加度須疑自
  5. 5語かた語かたかたりりりつぐつぐつぐまでまでまで可多利都具麻埿
  6. 6ほととぎすほととぎすほととぎす保等登藝須4464
  7. 7かけかけかけつつつつつつ君きみ君きみきみががが可氣都都伎美我
  8. 8松まつ松まつまつ蔭かげ蔭かげかげににに麻都可氣爾
  9. 9紐ひも紐ひもひも解と解ととききき放さ放ささくるくるくる比毛等伎佐久流
  10. 10月つき月つきつき近ちか近ちかちかづきづきづきぬぬぬ都奇知可都伎奴

引用の仕方

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現代語訳

〔4463〕ほととぎすが初めて鳴く朝明けに、どうしたら、我が家の門を素通りしないで鳴いてくれるだろうか。後々まで語り継がれるほどに。

〔4464〕ほととぎすの声を心にかけながら、あなたの家の松の木陰で、紐を解いてくつろぐ月が近づいてきた。

意訳

夏を前に、ほととぎすの初音を待ちわびる心と、ほととぎすの季節に友の家でくつろぐ楽しみを詠んだ歌である。

語釈・文法注

文法・本文

朝け
朝明け。
我が門過ぎじ
我が家の門を過ぎないだろう。
かけつつ
心にかけながら。声をかけながら、とも。
紐解き放くる
衣の紐を解いてくつろぐ。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。
出典
『万葉集』巻第二十・部立なし・4463〜4464番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
3月20日、家持が興にまかせて作った歌。

修辞

擬人
ほととぎすに語りかける。

解説

ほととぎすは4月(夏)に鳴き始める鳥として、その初音が待たれた。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、744頁(コマ165)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、879頁(コマ203)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日