万葉集 巻第二十 4445番
うぐひすの 聲は過ぎぬと
同じ宴で、鶯がさえずるのを聞いて大伴家持が作った歌。鶯の鳴く季節は過ぎたと思うけれど、深く染みついた心はやはり恋しく思うという歌。
場面イラスト(準備中)
題詞即ち鶯の哢るを聞きて作れる歌一首
現代語訳
鶯の声の季節は過ぎてしまったと思うけれども、深く染みついた心は、やはり恋しく思うことだ。
意訳
夏になって聞く鶯の声に、春に親しんだその声への愛着がなお消えないことを詠んだ歌である。
語釈・文法注
文法・本文
- 哢る
- 「さひづる」。さえずる。
- 染みにし情
- 深く染みついてしまった心。
和歌
- 作者
- 大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。 - 出典
- 『万葉集』巻第二十・部立なし・4445番
- 歌体
- 短歌(五七五七七)
- 時期
- 第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
- 状況
- 5月9日の宴で、鶯のさえずりを聞いて家持が作った歌。
修辞
- 逆接
- 季節は過ぎたと思うが、心はなお恋しい。
解説
初夏に鳴く鶯は、春の名残として詠まれた。
関連
出典
- 底本
- 佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、741頁(コマ163)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 原文
- 佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、875頁(コマ201)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日