古典ライブラリー

万葉集 巻第十九 4250番

しなざかる 越に五箇年

大伴家持(おおとものやかもち)

天平勝宝3年8月4日、大帳使を兼ねて都へ帰る大伴家持を、越中介内蔵縄麻呂が館で送別した宴で、家持が詠んだ歌。越の国に五年住み続けて、いよいよ別れることになる、名残惜しい夜であるという歌。

越中を去る前夜、灯火のもとで別れを惜しむ宴

題詞(介内藏伊美吉繩麻呂の館に餞する時の歌一首)

  1. 1しなざかるしなざかるしなざかる之奈謝可流
  2. 2越こし越こしこしににに五箇年いつとせ五箇年いつとせいつとせ越爾五箇年
  3. 3住す住すすみみみ住す住すすみみみててて住々而
  4. 4立た立たたちちち別わか別わかわかれれれまくまくまく立別麻久
  5. 5惜を惜をおしきしきしき初夜よひ初夜よひよいかもかもかも惜初夜可毛

引用の仕方

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現代語訳

(しなざかる)越の国に五年住み続けて、いよいよ立ち別れることになる、名残惜しい今宵であることよ。

意訳

五年間暮らした越中を去る前夜の宴で、別れの名残惜しさを詠んだ歌である。

語釈・文法注

文法・本文

五箇年
「いつとせ」。五年。
初夜
「よひ」。宵。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。
出典
『万葉集』巻第十九・部立なし・4250番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
天平勝宝3年8月4日、越中介内蔵縄麻呂の館での家持の送別の宴の歌。

修辞

詠嘆
「惜しき初夜かも」。

解説

家持の越中での最後の夜の歌。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、699頁(コマ142)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、824頁(コマ176)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日