古典ライブラリー

万葉集 巻第十九 4238番

君が往き もし久ならば

大伴家持(おおとものやかもち)

天平勝宝3年2月3日、正税帳使として上京する掾久米広縄を送る宴で、大伴家持が詠んだ歌。あなたの旅がもし長くなったら、梅や柳を誰と一緒に髪に挿したらよいのかという歌。

早春の梅と柳の枝を手に、旅立つ友を見送る

題詞二月三日、守の舘に會集ひて宴して作れる歌一首

  1. 1君きみ君きみきみががが往ゆき往ゆきゆき君之往
  2. 2もしもしもし久ひさ久ひさひさにににならならならばばば若久爾有婆
  3. 3梅うめ梅うめうめ柳やなぎ柳やなぎやなぎ梅柳
  4. 4誰たれ誰たれたれとととともともともにににかかか誰與共可
  5. 5吾わ吾わわががが蘰かづら蘰かづらかずらかかかむむん吾縵可牟

引用の仕方

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現代語訳

あなたの旅がもし長くなったならば、梅や柳を、誰と一緒に私は髪飾りにしたらよいのだろう。

意訳

上京する親しい部下に、帰りが遅くなれば春の梅や柳を一緒に楽しむ相手がいないと、別れを惜しんだ歌である。越中では梅や柳が三月にならないと咲かないと左注にある。

語釈・文法注

文法・本文

往き
「ゆき」。旅。
久に
長く。
蘰かむ
「かづらかむ」。髪飾りにしよう。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。
出典
『万葉集』巻第十九・部立なし・4238番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
天平勝宝3年2月3日、正税帳使の久米広縄を送る宴で、越中守大伴家持が詠んだ歌。

修辞

問いかけ
「誰とともにか」と寂しさを問う形で表す。

解説

広縄は都で家持の少納言遷任の知らせを受けることになる。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、696頁(コマ141)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、821頁(コマ174)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日