古典ライブラリー

万葉集 巻第十九 4230番

降る雪を 腰になづみて

大伴家持(おおとものやかもち)

天平勝宝3年正月3日、越中介内蔵縄麻呂の館に集まって宴をしたとき、大伴家持が詠んだ歌。降り積もった雪に腰まで埋もれながらやって来た甲斐があることだ、年の初めにという歌。

腰まで積もった雪をかき分けて、宴の館へ向かう人々

題詞(三日、介内藏忌寸繩麻呂の館の宴の歌一首)

  1. 1降ふ降ふふるるる雪ゆき雪ゆきゆきををを落雪乎
  2. 2腰こし腰こしこしににになづみなづみなずみててて腰爾奈都美氐
  3. 3參まゐ參まゐまいりりり來こ來ここししし參來之
  4. 4しるししるししるしもももあるあるあるかかか印毛有香
  5. 5年とし年としとしののの初はじめ初はじめはじめににに年之初爾

引用の仕方

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現代語訳

降り積もった雪に腰まで埋もれながら参上した、その甲斐もあることだ。年の初めに。

意訳

大雪の中を苦労してやって来た甲斐があったと、新春の宴の楽しさを讃えて主人をことほいだ歌である。

語釈・文法注

文法・本文

なづみて
難渋して、埋もれて進みかねて。
しるし
甲斐、効果。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。
出典
『万葉集』巻第十九・部立なし・4230番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
天平勝宝3年正月3日、越中介内蔵縄麻呂の館の宴で、越中守大伴家持が詠んだ歌。

修辞

ことほぎ
宴の主人への挨拶の歌。

解説

前日の正月2日の宴の歌(4229番)に続く。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、695頁(コマ140)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、820頁(コマ174)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日