古典ライブラリー

万葉集 巻第十九 4226番

この雪の 消遺る時に

大伴家持(おおとものやかもち)

天平勝宝2年12月、雪の日に大伴家持が詠んだ歌。この雪が消え残っているうちに、さあ行こう、山橘の実が雪に照り映えるのも見ようという歌。

雪の残る山に、赤く照り映える山橘の実

題詞雪の日作れる歌一首

  1. 1このこのこの雪ゆき雪ゆきゆきののの此雪之
  2. 2消け消けけ遺のこ遺のこのこるるる時とき時ときときににに消遺時爾
  3. 3いざいざいざ行ゆ行ゆゆかかかななな去來歸奈
  4. 4山やま山やまやま橘たちばな橘たちばなたちばなののの山橘之
  5. 5實み實みみののの光て光ててるるるももも見み見みみむむむ實光毛將見

引用の仕方

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現代語訳

この雪が消え残っているうちに、さあ行こう。山橘の実が照り輝くのも見よう。

意訳

白い雪の中に赤く光る山橘の実を見に行こうと誘う、色彩の対照の鮮やかな冬の歌である。

語釈・文法注

文法・本文

消遺る
「けのこる」。消え残る。
山橘
「やまたちばな」。やぶこうじ。冬に赤い実をつける。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。
出典
『万葉集』巻第十九・部立なし・4226番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
天平勝宝2年12月、雪の日に越中守大伴家持が詠んだ歌。

修辞

色彩
白い雪と赤い実の対照。

解説

山橘はやぶこうじのことで、冬に赤い実をつける。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、693頁(コマ139)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、819頁(コマ173)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日