古典ライブラリー

万葉集 巻第十九 4225番

あしひきの 山の黄葉に

大伴家持(おおとものやかもち)

天平勝宝2年10月16日、朝集使として上京する越中少目秦石竹を送る宴で、大伴家持が詠んだ歌。山の紅葉に雫がかかって散るだろう山道を、あなたが越えて行くのだなという歌。

紅葉の散る山道を越えていく旅人

題詞(朝集使少目秦忌寸石竹を餞する歌一首)

  1. 1あしひきあしひきあしひきののの足日木之
  2. 2山やま山やまやまののの黃葉もみぢ黃葉もみぢもみじににに山黃葉爾
  3. 3雫しづく雫しづくしずく合あ合ああひひいててて四頭久相而
  4. 4散ち散ちちらららむむん山やま山やまやま道ぢ道ぢじををを將落山道乎
  5. 5君きみ君きみきみががが越こ越ここえええまくまくまく公之越麻久

引用の仕方

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現代語訳

(あしひきの)山の紅葉に雫がかかって散るだろう山道を、あなたが越えて行くのだなあ。

意訳

朝集使として都へ向かう部下を送る宴で、紅葉の散る晩秋の山道を越えていく旅を思いやった歌である。

語釈・文法注

文法・本文

雫合ひて
雫がかかって。
越えまく
越えて行くこと。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。
出典
『万葉集』巻第十九・部立なし・4225番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
天平勝宝2年10月16日、朝集使少目秦石竹を送る宴で、越中守大伴家持が詠んだ歌。

修辞

名詞止め
「越えまく」で結ぶ。

解説

朝集使は、国の一年の政務を都へ報告する使い。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、693頁(コマ139)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、818頁(コマ173)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日