万葉集 巻第十九 4213番
東風を疾み 奈呉の浦廻に
天平勝宝2年5月、大伴家持が都の丹比家に贈った歌。東風が激しいので奈呉の浦に寄せる波が幾重にも重なるように、しきりに恋しく思い続けることだという歌。
場面イラスト(準備中)
題詞(京なる丹比家に贈れる歌一首)
現代語訳
東風が激しいので、奈呉の浦のあたりに寄せる波が、いよいよ幾重にも重なるように、しきりに恋しく思い続けることだ。
意訳
越中の奈呉の浦に寄せる波の重なりに寄せて、都の人への恋しさを詠んだ歌である。
語釈・文法注
文法・本文
- 東風
- 「あゆ」。越中の言葉で東の風。
- 千重しきに
- 幾重にも重なって、しきりに。
和歌
- 作者
- 大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。 - 出典
- 『万葉集』巻第十九・部立なし・4213番
- 歌体
- 短歌(五七五七七)
- 時期
- 第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
- 状況
- 天平勝宝2年5月、越中守大伴家持が都の丹比家に贈った歌。
修辞
- 序詞
- 「東風を疾み奈呉の浦廻に寄する浪」が「いや千重しきに」を導く。
解説
丹比家には4173番も贈っている。
関連
出典
- 底本
- 佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、690頁(コマ138)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 原文
- 佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、815頁(コマ171)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日