古典ライブラリー

万葉集 巻第十九 4174番

春の裏の 樂しき終へば

大伴家持(おおとものやかもち)

天平勝宝2年3月27日、大伴家持が、父旅人の大宰府での梅花の宴の歌に追和して詠んだ歌。春の楽しみの極みは、梅の花を手折って来ては遊ぶことであろうという歌。

梅の花の枝を手に、春の宴で遊ぶ人々

題詞筑紫太宰の時の春苑の梅の歌に追和せる一首

  1. 1春はる春はるはるののの裏うち裏うちうちののの春裏之
  2. 2樂たぬ樂たぬたぬしきしきしき終を終をおへへえばばば樂終者
  3. 3梅うめ梅うめうめののの花はな花はなはな梅花
  4. 4手た手たた折を折をおりりりををを來き來ききつつつつつつ手折乎伎都追
  5. 5遊あそ遊あそあそぶぶぶにににあるあるあるべしべしべし遊爾可有

引用の仕方

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現代語訳

春の楽しみの極みとしては、梅の花を手折って来ながら遊ぶことであろう。

意訳

天平2年正月、父大伴旅人が大宰府の邸で催した梅花の宴(815〜846番)をしのび、その歌に追和した歌である。

語釈・文法注

文法・本文

春の裏
「はるのうち」。春の間。
樂しき終へば
楽しみを極めるならば。
手折りを來つつ
手折って来ては。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。
出典
『万葉集』巻第十九・部立なし・4174番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
天平勝宝2年3月27日、越中守大伴家持が、大宰府の梅花の宴の歌に追和した歌。

修辞

追和
父の時代の梅花の宴の歌を踏まえる。

解説

梅花の宴の歌の中に「正月立ち春の來らばかくしこそ梅を招きつつ樂しき終へめ」(815番)がある。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、683頁(コマ134)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、806頁(コマ167)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日