古典ライブラリー

万葉集 巻第十九 4173番

妹を見ず 越の國邊に

大伴家持(おおとものやかもち)

天平勝宝2年3月、大伴家持が都の丹比氏の家に贈った歌。妻に逢わずに越の国で年を過ごしているので、私の心の和む日もないという歌。

越の国の山並みを眺めて、都の人を思う男

題詞京なる丹比家に贈れる歌一首

  1. 1妹いも妹いもいもををを見み見みみずずず妹乎不見
  2. 2越こし越こしこしののの國くに國くにくに邊べ邊べべににに越國敝爾
  3. 3年とし年としとし經ふ經ふふれれればばば經年婆
  4. 4吾わ吾わわががが情神こころど情神こころどこころどののの吾情度乃
  5. 5和な和ななぐるぐるぐる日ひ日ひひもももなしなしなし奈具流日毛無

引用の仕方

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現代語訳

妻に逢わずに、越の国のあたりで年を過ごしているので、私の心の和む日もない。

意訳

都の丹比家に贈った歌で、越の国で年を重ねる寂しさを訴える。

語釈・文法注

文法・本文

國邊
「くにべ」。国のあたり。
情神
「こころど」。しっかりした心、心。
和ぐる
「なぐる」。和む。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。
出典
『万葉集』巻第十九・部立なし・4173番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
天平勝宝2年3月、越中守大伴家持が都の丹比家に贈った歌。

修辞

否定
「和ぐる日もなし」と言い切る。

解説

坂上大嬢はこのころ越中にいたと見られ、「妹」が誰を指すかには説がある。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、683頁(コマ134)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、806頁(コマ167)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日