万葉集 巻第十九 4150番
朝床に 聞けば遙けし
天平勝宝2年3月3日の朝、大伴家持が、遠くに射水川をさかのぼる船人の歌声を聞いて詠んだ歌。朝の床で聞くと遥かに聞こえる、射水川を朝漕ぎしながら歌う船人の声よという歌。
場面イラスト(準備中)
題詞遙に江を泝る船人の唱を聞く歌一首
現代語訳
朝の寝床で聞くと遥かに聞こえる。射水川を朝漕ぎしながら歌う船人の声は。
意訳
朝の床の中で、遠く射水川から聞こえてくる船歌に耳を澄ませた歌である。声の遠さが、春の朝ののどかさと旅の身の寂しさを伝える。
語釈・文法注
文法・本文
- 遙けし
- 遠く聞こえる。
- 唱ふ
- 「うたふ」。歌う。
和歌
- 作者
- 大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。 - 出典
- 『万葉集』巻第十九・部立なし・4150番
- 歌体
- 短歌(五七五七七)
- 時期
- 第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
- 状況
- 天平勝宝2年3月3日の朝、越中守大伴家持が詠んだ歌。
修辞
- 倒置
- 「聞けば遙けし」を先に言い、歌う船人を後に置く。
解説
射水川は越中国府の近くを流れる川。
関連
出典
- 底本
- 佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、678頁(コマ132)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 原文
- 佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、800頁(コマ164)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日