古典ライブラリー

万葉集 巻第十九 4142番

春の日に 張れる柳を

大伴家持(おおとものやかもち)

天平勝宝2年3月2日、大伴家持が、柳の枝を手に取って都を思って詠んだ歌。春の日に芽吹いた柳を手に取って見ると、都の大路が思い出されるという歌。

芽吹いた柳の枝を手に、都の大路を思う男

題詞二日、柳黛を攀ぢて京師を思ふ歌一首

  1. 1春はる春はるはるののの日ひ日ひひににに春日爾
  2. 2張は張ははれれれるるる柳やなぎ柳やなぎやなぎををを張流柳乎
  3. 3取と取ととりりり持も持ももちちちててて取持而
  4. 4見み見みみれれればばば京みやこ京みやこみやこののの見者京之
  5. 5大路おほち大路おほちおおじおもほゆおもほゆおもほゆ大路所思

引用の仕方

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現代語訳

春の日に芽吹いた柳を手に取って見ると、都の大路が思い出される。

意訳

平城京の大路には柳が植えられていた。越中の庭で芽吹いた柳の枝を手にした家持は、都の大路の並木を思い出し、望郷の念にかられる。

語釈・文法注

文法・本文

張れる
芽を吹いた。
大路
「おほち」。都の大通り。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。
出典
『万葉集』巻第十九・部立なし・4142番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
天平勝宝2年3月2日、越中守大伴家持が、柳を手に取って都を思って詠んだ歌。

修辞

連想
柳から都の大路を連想する。

解説

題詞の「柳黛」は、柳の葉を美人の眉にたとえた漢語。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、677頁(コマ131)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、799頁(コマ163)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日