古典ライブラリー

万葉集 巻第十八 4137番

正月たつ 春のはじめに

大伴家持(おおとものやかもち)

天平勝宝2年正月5日、越中掾久米広縄の館の宴で、大伴家持が詠んだ歌。正月の春の初めに、このようにして笑い合っていたなら、いつでも楽しい時であろうという歌。

正月の宴で笑い合う越中の官人たち

題詞判官久米朝臣廣繩の館の宴の歌一首

  1. 1正月むつき正月むつきむつきたつたつたつ牟都奇多都
  2. 2春はる春はるはるのののはじめはじめはじめににに波流能波自米爾
  3. 3斯か斯かかくくくしししつつつつつつ可久之都追
  4. 4相あひ相あひあいししし笑ゑ笑ゑえみみみてててばばば安比之惠美天婆
  5. 5時とき時ときときじじじけめけめけめやもやもやも等枳自家米也母

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

正月の春の初めに、このようにして互いに笑い合っていたならば、時節にそぐわないことがあろうか。

意訳

新春の宴で、このように笑い合うことこそ春の初めにふさわしいと、宴をことほいだ歌である。

語釈・文法注

文法・本文

正月たつ
「むつきたつ」。正月になる。
相し笑みてば
互いに笑い合ったならば。
時じけめやも
時節にそぐわないことがあろうか。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。
出典
『万葉集』巻第十八・部立なし・4137番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
天平勝宝2年正月5日、越中掾久米広縄の館の宴の歌。

修辞

反語
「時じけめやも」。

解説

「時じ」は、その時節にふさわしくないこと。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、667頁(コマ126)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、788頁(コマ158)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日