古典ライブラリー

万葉集 巻第十八 4136番

あしひきの 山の木末の

大伴家持(おおとものやかもち)

天平勝宝2年正月2日、越中の国庁で諸郡の郡司たちに饗宴を賜ったとき、大伴家持が詠んだ歌。山の梢の宿り木を取って髪に挿したのは、千年の長寿を祝うためだという歌。

国庁の正月の宴で、宿り木を髪に挿した郡司たち

題詞天平勝寶二年正月二日、國廳にて饗を諸郡司等に給ふ宴の歌一首

  1. 1あしひきあしひきあしひきののの安之比奇能
  2. 2山やま山やまやまののの木末こぬれ木末こぬれこぬれののの夜麻能許奴禮能
  3. 3寄生ほよ寄生ほよほよ取と取ととりりりててて保與等里天
  4. 4插頭かざ插頭かざかざしししつらくつらくつらくははは可射之都良久波
  5. 5千年ちとせ千年ちとせちとせ壽ほ壽ほほぐぐぐとととぞぞぞ知等世保久等曾

引用の仕方

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現代語訳

(あしひきの)山の梢の宿り木を取って、髪に挿したのは、千年の命を祝うためだぞ。

意訳

正月の国庁の宴で、常緑の宿り木を髪に挿して、郡司たちの長寿と一年の繁栄を祝った歌である。

語釈・文法注

文法・本文

寄生
「ほよ」。宿り木。冬も青く、生命力の象徴とされた。
插頭しつらくは
髪に挿したのは。
壽ぐ
「ほぐ」。祝う。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。
出典
『万葉集』巻第十八・部立なし・4136番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
天平勝宝2年正月2日、越中の国庁での郡司たちへの饗宴の歌。

修辞

予祝
宿り木に寄せて長寿を祝う。

解説

国司が正月に郡司らを饗応するのは、国庁の年中行事であった。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、667頁(コマ126)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、788頁(コマ158)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日