古典ライブラリー

万葉集 巻第十八 4135番

我が兄子が 琴取るなべに

大伴家持(おおとものやかもち)

越中少目秦石竹の館の宴で、大伴家持が詠んだ歌。あなたが琴を手に取って弾くにつれて、世の人の言う嘆きがいっそう重くつのってくるという歌。

館の宴で琴を弾く人と、耳を傾ける客たち

題詞(少目秦伊美吉石竹の館の宴の歌一首)

  1. 1我わ我わわががが兄子せこ兄子せこせこががが和我勢故我
  2. 2琴こと琴ことこと取と取ととるるるなべなべなべににに許登等流奈倍爾
  3. 3常人つねひと常人つねひとつねひとののの都禰比登能
  4. 4云い云いいふふう歎なげき歎なげきなげきしもしもしも伊布奈宜吉思毛
  5. 5いやいやいや重し重ししききき益ま益まますすすももも伊夜之伎麻須毛

引用の仕方

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現代語訳

あなたが琴を手に取って弾くにつれて、世間の人の言う嘆きというものが、ますます重くつのってくることだ。

意訳

宴の主人の弾く琴の音に心を動かされ、世の人がよく言う物思いの嘆きが、身にしみてつのってくると詠んだ歌である。

語釈・文法注

文法・本文

なべに
につれて。
常人
「つねひと」。世間の人。
重き益す
「しきます」。しきりにつのる。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。
出典
『万葉集』巻第十八・部立なし・4135番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
越中少目秦石竹の館の宴で、越中守大伴家持が詠んだ歌。

修辞

感興
琴の音に誘われる感傷を詠む。

解説

琴は、宴席で奏される楽器であった。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、667頁(コマ126)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、788頁(コマ158)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日