万葉集 巻第十八 4120〜4121番
見まく欲り 思ひしなべに
天平感宝元年閏5月28日、大伴家持が、いずれ都へ上ったときに貴人や美人に会って宴をする日のために、あらかじめ作っておいた歌二首。逢いたいと思っていたとおりに、髪飾りをつけた美しいあなたにお逢いできたという歌、朝廷に参るあなたの姿を見ないで久しく鄙に住んでいたので、私は恋しく思っていたという歌。
場面イラスト(準備中)
題詞京に向はむ時、貴人を見、及美人に相ひて、飲宴せむ日、懷を述べむ爲に、儲て作れる歌二首
現代語訳
〔4120〕逢いたいと思っていたとおりに、髪飾りをつけた美しいあなたに、お逢いしたことだ。
〔4121〕朝廷に参るあなたの姿を見ずに、久しく鄙に住んでいたので、私は恋しく思っていました。
意訳
上京の日を思い描いて、都の貴人や美しい人との再会の宴で披露するために、前もって作っておいた歌である。
語釈・文法注
文法・本文
- 見まく欲り
- 逢いたいと思って。
- なべに
- とともに、とおりに。
- かぐはし
- 美しい、香り高い。
- 朝參
- 「まゐり」。朝廷に参ること。
和歌
- 作者
- 大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。 - 出典
- 『万葉集』巻第十八・部立なし・4120〜4121番
- 歌体
- 短歌(五七五七七)
- 時期
- 第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
- 状況
- 天平感宝元年閏5月28日、越中守大伴家持が、上京したときの宴のためにあらかじめ作った歌。
修辞
- 想像
- 再会の場面を想像して詠む。
解説
家持は翌年、少納言に任じられて帰京する。
関連
出典
- 底本
- 佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、663頁(コマ124)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 原文
- 佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、783頁(コマ155)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日