古典ライブラリー

万葉集 巻第十八 4037番

乎敷の埼 漕ぎ徘徊り

大伴家持(おおとものやかもち)

天平20年3月23日、翌日の布勢の水海遊覧を前に、田辺福麻呂の4036番に答えて大伴家持が詠んだ歌。乎布の崎を漕ぎめぐって一日中見ていても、飽きるような浦ではないのにという歌。

乎布の崎を漕ぎめぐる船から、水海の景色を眺める

題詞(時に明日將に布勢水海に遊覽せむと期りき。仍りて懷を述べて各作れる歌)

  1. 1乎布をふ乎布をふおうののの埼さき埼さきさき乎敷乃佐吉
  2. 2漕こ漕ここぎぎぎ徘徊たもとほ徘徊たもとほたもとおりりり許藝多母等保里
  3. 3終日ひねもす終日ひねもすひねもすににに比禰毛須爾
  4. 4見み見みみとととももも飽あ飽ああくくくべきべきべき美等母安久倍伎
  5. 5浦うら浦うらうらにににあらあらあらなくなくなくににに宇良爾安良奈久爾

引用の仕方

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現代語訳

乎布の崎を漕ぎめぐって、一日中見ていても、飽きるような浦ではないのに。

意訳

福麻呂の「如何にある布勢の浦ぞも」という問いに、家持が布勢の水海の素晴らしさを誇って答えた歌である。

語釈・文法注

文法・本文

乎布の埼
「をふのさき」。布勢の水海の岬。
終日に
「ひねもすに」。一日中。
見とも
見ても。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。
出典
『万葉集』巻第十八・部立なし・4037番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
天平20年3月23日、越中守大伴家持の館で、田辺福麻呂に答えた歌。

修辞

否定
「飽くべき浦にあらなくに」と、飽きることのない浦だと強調する。

解説

乎布の崎は、池主の布勢水海の賦(3993番)にも「乎布の埼花散りまがひ」と詠まれている。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、645頁(コマ115)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、760頁(コマ144)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日