古典ライブラリー

万葉集 巻第十七 4031番

中臣の 太祝詞言

大伴家持(おおとものやかもち)

大伴家持の酒造りの歌。中臣氏の唱える尊い祝詞を言って祓い清め、贖って長らえようとする命も、いったい誰のためか、あなたのためだという歌。

祝詞を唱えて祓いをする神官と、その前に供えられた酒甕

題詞造酒の歌一首

  1. 1中臣なかとみ中臣なかとみなかとみののの奈加等美乃
  2. 2太祝詞ふとのりと太祝詞ふとのりとふとのりと言ごと言ごとごと敷刀能里等其等
  3. 3言い言いいひひい祓はら祓はらはらへへえ伊比波良倍
  4. 4贖あが贖あがあがふふういのちいのちいのちももも安賀布伊能知毛
  5. 5誰た誰たたがががためためためににに汝なれ汝なれなれ多我多米爾奈禮

引用の仕方

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現代語訳

中臣氏が唱える尊い祝詞の言葉を言って祓い清め、贖い物を捧げて長らえようとする命も、誰のためであろうか。あなたのためなのだ。

意訳

酒造りの際に、祝詞を唱えて祓い清め、命の長久を祈る儀礼に寄せた歌である。その命も誰のためでもない、あなたのためだと、恋の歌の形をとる。

語釈・文法注

文法・本文

中臣
「なかとみ」。祭祀をつかさどる氏族。
太祝詞言
「ふとのりとごと」。尊い祝詞の言葉。
贖ふ
「あがふ」。贖い物を捧げて罪や穢れを除く。
誰がために汝
誰のためか、あなたのためだ。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。
出典
『万葉集』巻第十七・部立なし・4031番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
大伴家持が造酒に寄せて詠んだ歌。

修辞

倒置
結句「誰がために汝」で、問いと答えを一句に収める。

解説

巻第十七はこの歌で終わる。造酒は酒造りの儀礼に関わる歌と考えられるが、詳しい事情は未詳。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、638頁(コマ112)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、751頁(コマ139)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日